昨今の猛暑による熱中症対策で「麦茶やスポーツドリンクで水分補給!」――これ、誰もが当たり前にしている習慣ですよね?
私自身も日々のランニングの後は熱中症にならないようスポーツドリンクを積極的に飲んでいました。運動の途中や、運動後に冷たい1本を飲んだときの爽快感は、まるで体が生き返るような感覚すらありました。
でも最近、医師や研究者の間で「スポーツドリンクの飲みすぎは肝臓や健康に悪影響を及ぼす」という指摘が増えているんです。特に注目されているのが「果糖(フルクトース)」という甘味成分。
「え?果物にも入っているし、体にいいんじゃないの?」と思った方。実はその認識には落とし穴があるのです。この記事では、果糖が脂肪肝や生活習慣病を招く理由を簡単に解説します。
スポーツドリンクの糖分量はどれくらい?
まず知っておきたいのが、スポーツドリンクに含まれる糖分の量です。
市販されている代表的なスポーツドリンクには、500mlあたり25〜30g前後の糖質が含まれています。これは角砂糖にすると約8〜10個分。
「水分補給のつもりで1日に2本飲んでいた」という人は、気づかぬうちに砂糖20個分以上を体に入れていた計算になります。私も夏場の激しい運動中や運動後には、短時間で2Lのペットボトルの半分程を飲んでいましたが、今考えると少し不安になります…。
果糖(フルクトース)の代謝と脂肪肝リスク
砂糖は「ブドウ糖(グルコース)」と「果糖(フルクトース)」が結合してできています。
このうち、果糖は代謝の仕組みが特殊で、肝臓で直接代謝されやすいという特徴があります。
- ブドウ糖 → 筋肉や脳でエネルギーとして使われる
- 果糖 → 肝臓に負担がかかりやすく、中性脂肪に変換されやすい
つまり、果糖を過剰に摂取すると、肝臓に脂肪が蓄積して「非アルコール性脂肪肝(NAFLD)」の原因になってしまうんです。
アメリカの医学誌 Hepatology では、「果糖を多く摂取する人は脂肪肝のリスクが2倍以上高い」という報告もあります。
病気との関係
果糖の過剰摂取は脂肪肝だけでなく、さまざまな病気につながることがわかっています。
- 2型糖尿病:インスリン抵抗性が高まる
- 高尿酸血症(痛風):果糖の代謝で尿酸が増える
- 肥満・内臓脂肪:中性脂肪の合成が促進される
- 動脈硬化・心筋梗塞:脂質異常症のリスク増大
実際に私の知人で、毎日スポーツドリンクを習慣的に飲んでいた40代男性が、健康診断で「脂肪肝」と診断されたケースもありました。彼はお酒をほとんど飲まない人だったので、医師から「原因は清涼飲料水の飲みすぎ」と指摘され、かなりショックを受けていました。
果物の果糖は大丈夫なのか?
ここで「じゃあ果物も危険なの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
答えは 果物そのものは基本的に問題ない です。なぜなら果物には食物繊維やビタミン、ポリフェノールが豊富に含まれており、果糖の吸収を緩やかにするからです。
一方で、果糖を抽出して甘味料として使った場合(異性化糖や高フルクトースコーンシロップ)は別物。これがスポーツドリンクや清涼飲料水に多く使われており、問題視されているのです。
スポーツドリンクとの正しい付き合い方
ただし完全に悪者扱いする必要はありません。スポーツドリンクにも役割はあります。
- 真夏の炎天下での長時間運動
- 大量に汗をかいたときの電解質補給
こうしたシーンでは、水だけよりも効率的に水分とミネラルを補給できます。
しかし、普段の生活で「喉が渇いたから」と飲むのはおすすめしません。
日常的な水分補給は 水・麦茶・無糖炭酸水 がベスト。必要なときだけスポーツドリンクを選ぶのが健康的です。
まとめ
スポーツドリンクは便利で美味しい飲み物ですが、「体に良い」というイメージだけで常用すると、実は健康を損なうリスクがあります。特にドリンク(液体)であるため短時間で果糖を吸収してしまう為果糖の摂りすぎとなってしまい 脂肪肝・糖尿病・肥満 など生活習慣病に直結します。
なので脂肪肝になりにくい果糖の摂り方は、
- 果物は、なるべくそのまま食べる
- 量が多い場合は、時間をかけて食べる
- 吸収効率の良い、ジュースにしない
- 食物繊維の少ない市販のジュースは飲まない
- 砂糖、果糖ブドウ糖液糖入り食品をなるべく避ける
このスタンスが一番バランスが取れていると思います。
「今まで何気なく飲んでいた」という方は、まずは1日1本減らすことから始めてみてください。きっと体の軽さや疲れにくさを実感できるはずです。