美容室には様々なトリートメントメニューがありますが、トリートメント後の髪の毛のサラサラ感やしっとり感を体験すると思わず「髪の毛が治った!」と感じることはありませんか?
でもそれ実は、髪の毛が治ったわけではないんです。
髪は「修復」できず「補修」をするもの。
本記事では、一見すると治ったかのように感じる髪の毛が、なぜ「修復」されたわけではなく「補修」されただけかの違いを簡単に解説します。
誤解しやすい言葉の使い方から、正しいヘアケアの選び方まで、分かりやすくお伝えします!
トリートメントで髪の毛を修復? それって本当?
髪の毛は「修復」できません。
まずは一番大事な結論から、髪の毛は「修復」はできません。(今現在では修復はできませんが、未来はわかりません)正確には「補修」なんです。
この“修復”と“補修”の違い、似ているようで意味が全く違うんです。
「修復」と「補修」の違いとは?
◾ 修復とは
- 壊れたものを元どおりに戻すこと。
- たとえば「壊れた建物を修復する」「友情関係を修復する」など。
◾ 補修とは
- 壊れた部分を繕う(つくろう)こと。
- 「壁のヒビを補修する」「使い古した服の補修」など。
つまり、
- 修復 = 元の健康な状態に戻す
- 補修 = ダメージをカバー・コーティングする
この差は、とても大きいんです。
髪の毛は“死滅細胞”。だから治らない
ここが一番大切なポイントです。
髪の毛は「死んだ細胞」=死滅細胞。生きていないので、肌のように自己再生する力がありません。
そして、どんなにトリートメントで髪の毛の栄養素を入れ込んでも、消化も吸収もできません。
つまり、どんなに高級なトリートメントをしても、髪そのものが再生する=“治る”ことはないんです。
では、トリートメントは意味がないのか?というと、そうではありません。
トリートメントは「補修」には効果的
トリートメントは、髪の表面に膜を張ったり、内部に油分や保湿成分を補ったりすることで、
- 手触りが良くなる
- 見た目がツヤツヤになる
- 櫛通りが滑らかになる
といった一時的な補修効果があります。
でもそれは、あくまで一時的。
数日〜数週間すれば、シャンプーや紫外線、ドライヤーの熱で落ちてしまいます。
「髪が治った」は誤解のもと
トリートメント後に艶が戻った髪を見ると、つい「治った!」と思ってしまうのは自然なことです。
でも、本質的には“治って”いません。
これを「修復」と表現してしまうと、じゃあ、次回からトリートメントはもういらないのでは?
という話になります。
実際は、ダメージの蓄積を抑えるためや、艶感を出す為、保湿の為、髪の毛の滑りを良くし引っ掛かり等を防止する為等に、定期的なケア=補修は必要だと私個人は考えています。
もし美容師さんが「修復」と言ったら?
一度、こう言ってみてください。

髪の毛が治ったなら、しばらくトリートメントはしなくていいですよね?
きっと美容師さんは、
- 紫外線が強いから…
- カラーしてるから…
- ドライヤーの熱が…
と、様々な理由で「継続」をすすめてくるでしょう。
安易に使われる「補修」という表現
あくまで私の体感ではありますが、美容師さんの中でもこの「補修」と「修復」という言葉の使い分けにこだわっている美容師は少ないように思います。
「治る」や「傷まない」という表現をした方が集客をしやすい背景もあると思います。
私自身も、美容師になりたての頃、「トリートメントで治るんですか?」というお客様の質問に対して、なんとなく、「はい、ある程度は治りますよ」と答えていたことがありました。
当時は、勉強不足で“補修”と“修復”の違いも理解していませんでした。
しかし、化学的な知識や髪の構造を学ぶうちに、「これは間違った表現だったな」と気づき使い分けを意識するようにしました。
今でも、お客様に誤解がないよう、必ず「治ったわけではありません、あくまで補修です」と伝えるようにしています。
まとめ
- 髪の毛は死滅細胞で“治らない”
- トリートメントは“修復”ではなく“補修”
- 見た目や手触りを改善する一時的なケア
美容師とお客様の信頼関係は、言葉の選び方ひとつで変わります。
「修復」と言ってしまうと、一時的な効果なのに、まるで完治したかのような印象を与えてしまう。
これは、美容師としては避けるべきだと私個人は考えています。
お客様も、過度な期待をせずに、補修としてのトリートメントを正しく理解し、
適切な頻度・方法でヘアケアを行っていくことが大切だと思います。